行列の対角化での座標変換を絶対に染みつかせる記事(編集中)

行列の対角化を絶対に染みつかせる記事。避けては通れません。しかし、pure数学寄りの話ではなくて、微分方程式やらを解きたい、変換したいが為の記事です。

対角化の基本知識

正方行列Aに対して、対角化がしたいとは、AをAの中の対角な要素のみの行列とそれ以外の行列分けたいということ。それを行うには、大まかに次のステップを踏む。 1. Aの固有値を求める。 2. 固有値から、固有ベクトルを求める。 3. 固有値からなる対角行列Dを作成し、両辺に固有ベクトルからなる行列Uとその逆行列U.invをかける $$ \mathbf A = \mathbf U \mathbf D \mathbf U^{-1} \\ \mathbf U \mathbf A \mathbf U^{-1} = \mathbf D$$ 上の2つの式は同値です、UU.inv が単位行列になることに留意して、両辺からU, U.invをかければ変換できます。但し、固有ベクトルの数がAの次元より少ない場合、対角化は不可能です。サイズ違うと上の式そもそも出来ないし。 これは、Aがシンプルな行列なら簡単に計算できます。が、以下では微分方程式の中で対角化を使うことに挑戦します。

e.g. 1 三階の振動の方程式を解く (座標変換)

$$\mathbf M \ddot\bm{x} + \mathbf K\bm{x} = 0$$ $$\begin{pmatrix} m_1 & 0 & 0 \\ 0 & m_2 & 0 \\ 0 & 0 & m_3 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \ddot x_1 \\ \ddot x_2 \\ \ddot x_3 \end{pmatrix} + \begin{pmatrix} 2k & -k & 0 \\ -k & 2k & -k \\ 0 & -k & 2k \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x_1 \\ x_2 \\ x_3 \end{pmatrix} = 0$$ 上のような方程式を解く。これは、解の形が以下のように既に分かっているため、代入して0となる条件を細かく見る。 $$\bm x = \mathbf A \cos(pt + \phi)$$ $$\begin{pmatrix} x_1 \\ x_2 \\ x_3 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} A_1 \\ A_2 \\ A_2 \end{pmatrix} \cos(pt+\phi)$$ 代入してもろもろ整理すると $$(- \mathbf Mp^2 + \mathbf K) \mathbf A \cos(pt + \phi) = 0$$ $$\begin{pmatrix} - m_1 p^2 + 2k & -k & 0 \\ -k & - m_2 p^2 +2k & -k \\ 0 & -k & - m_3 p^2 + 2k \end{pmatrix} \begin{pmatrix} A_1 \\ A_2 \\ A_2 \end{pmatrix} \cos(pt+\phi) = 0$$ すると、代入したxが解ならば、上の式は0にならないといけない。ので、上の式の中のどれかの要素を0として考えないといけないが、cosは0にするのは嫌だ。なぜなら、そいつを0にしてしまうと仮定したx自体が常に0となってしまい、情報量がないから、解く意味がない。だからcosはここでは0ではないとする.すると、両辺からcosを割って、 $$(- \mathbf Mp^2 + \mathbf K) \mathbf A= 0$$ $$\begin{pmatrix} - m_1 p^2 + 2k & -k & 0 \\ -k & - m_2 p^2 +2k & -k \\ 0 & -k & - m_3 p^2 + 2k \end{pmatrix} \begin{pmatrix} A_1 \\ A_2 \\ A_2 \end{pmatrix} = 0$$ という、典型的な連立方程式になった。今度もこの式が0になってほしい。しかし、Aに0になってもらうのは、上の理由と同じで嫌だ。なので、Aがすべて0にならない解を求めれば良い。それは、線形代数の力を借りると、Aが自明解以外の解を持つと言い換えられる。この時、係数行列が満たすべき条件は $$\det (- \mathbf Mp^2 + \mathbf K )= 0$$ $$\det \begin{pmatrix} - m_1 p^2 + 2k & -k & 0 \\ -k & - m_2 p^2 +2k & -k \\ 0 & -k & - m_3 p^2 + 2k \end{pmatrix} = 0$$ である。長々と来たが要するに、仮定したXがあの方程式の解ならば、この係数行列の行列式は0にならないといけないということ。で、これは上のベクトル表記の式を見れば分かるように、 $$\det ( \mathbf A - \lambda \mathbf I )= 0$$ 行列Aの固有値lambdaを求める特性方程式と似た形をしている。いや、同じ形にしたい!そうすれば固有値求められるじゃない。よし、Mを単位行列(m1 = m2 = m3)にしましょう。 $$\det ( \mathbf K - m p^2\mathbf I )= 0$$ これで、よし。m1 = m2 = m3 じゃない場合はどうするか?考えないことにしましょう。ひとまず、上の行列式を未知数pについて解いてみよう。 $$p_1 = , p_2 =, p_3 = $$ となりました。このpは、固有角振動数といい、系を外力を働かせずに自由振動させた時に、揺れる振動数を表しています。mp^2が線形代数的にいう固有値に相当します。固有値を求めたら、次に求めたいのは固有ベクトルです。上で求めた3つのpのそれぞれに対して、固有ベクトルを求めます。pを代入して、Aの連立方程式を解きます。という感じで求めていきますと、 $$p_1 = , \ \mathbf A^1 = \begin{pmatrix} A_1 \\ A_2 \\ A_3 \end{pmatrix} \\ p_2 = , \ \mathbf A^2 = \begin{pmatrix} A_1 \\ A_2 \\ A_3 \end{pmatrix} \\ p_3 = , \ \ \mathbf A^3 = \begin{pmatrix} A_1 \\ A_2 \\ A_3 \end{pmatrix}$$ となり、固有ベクトルが求まりました。この固有ベクトルAというのは、はじめのxの仮定から言うと、xの各要素ごとの振幅の比率だと捉えることができます。 この、固有ベクトルを使って、次のように、xからξへと変換行列Uによって座標変換を行います。 $$\bm x = \mathbf U \bm \xi$$ $$\begin{pmatrix} x_1 \\ x_2 \\ x_3 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} A^1_1 & A^2_1 & A^3_1 \\ A^1_2 & A^2_2 & A^3_2 \\ A^1_3 & A^2_3 & A^3_3 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \xi_1 \\ \xi_2 \\ \xi_3 \end{pmatrix} $$ なぜ?かというと、この固有値と固有ベクトルというのは、以下の式より、バネ定数行列Kから出てきたモノです。バネ定数Kの固有値と固有ベクトルがそれぞれmp^2、Aなわけです。 $$\det ( \mathbf K - m p^2\mathbf I )= 0$$ そして、下の、最初の式を思い返していただきたい。ここでいう、AがKにあたります。 $$ \mathbf A = \mathbf U \mathbf D \mathbf U^{-1} \\ \mathbf U \mathbf A \mathbf U^{-1} = \mathbf D$$ そう、Kは対角化できるのです。Kを対角化することで、最初の微分方程式を、各式が独立した形で書き直すことができます。x=Uξを元の微分方程式に代入します。 $$\mathbf M \mathbf U \ddot \bm \xi + \mathbf K \mathbf U \bm \xi = 0$$ 両辺に、左からUの逆行列をかけます。 $$\mathbf U^{-1} \mathbf M \mathbf U \ddot \bm \xi + \mathbf U^{-1} \mathbf K \mathbf U \bm \xi = 0 \\ \Leftrightarrow m \ddot \bm \xi + \mathbf D \bm \xi = 0$$ $$m \begin{pmatrix} \ddot \xi_1 \\ \ddot \xi_2 \\ \ddot \xi_3 \end{pmatrix} + \begin{pmatrix} mp^2_1 & 0 & 0 \\ 0 & mp^2_2 & 0 \\ 0 & 0 & mp^2_3 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \xi_1 \\ \xi_2 \\ \xi_3 \end{pmatrix} = 0$$ と、対角化することができました。おめでとうございます。👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏

e.g. 2 あとなに?

refs

http://www.ic.daito.ac.jp/~tkadoda/math/2014matrix1212.pdf
https://www.geisya.or.jp/~mwm48961/linear_algebra/diagonal1.htm